そして、理由その2、電気代の節約です。テレビなどで、震災による電力供給量の減少により節電対策が注目を浴びてきましたが、その代表としてエアコンの使い方が取り上げられていました。その方法として、「設定温度を上げる」、「一つの部屋に集まる」、と同じように「エアコンクリーニング」が扱われてきたのも記憶に新しいところです。
では、なぜエアコンクリーニングが節電につながるのか、を分かりやすく順を追って解説いたします。
※ここでは夏場にエアコンを使う場合を想定して解説いたします。
エアコンはなぜ冷えるのか?
エアコンは 「暖かい空気を吸い、それを冷やして室内に送り込む」 ということを繰り返して室内の気温を下げています。この 「冷やす」 という現象は、言い換えれば、熱を奪う、ということです。その役目を果たしているのが、「熱交換器」 と呼ばれる部分で、その内部には 「冷媒」 と呼ばれるガスが通っています。室内の空気の熱を奪った冷媒は、その熱を室外へ持っていきます。室外にある室外機が熱くなった冷媒の熱を外へ放出 (室外機が熱風を吹き出す) し、冷やされた冷媒はまた室内に戻り、さらに室内の空気の熱を室外へ運びます。
熱交換器の拡大写真です。縦にすじ状にあるのがアルミフィン、横に通っているのが冷媒の管です。この冷媒によって熱交換器全体が冷やされ、熱交換器を通過した空気がその奥にあるファンによって室内へ送り込まれます。例えるなら、氷に息を吹きかけると氷越しには息が冷たく感じるのと同じです。 そして、室内で暖まった空気は、また吸い込まれ、熱を奪われ、室内へ戻されます。
熱交換器が汚れるとどうなるか?
上の写真はきれいな状態の熱交換器ですが、汚れてくると下の写真の右側のように目が詰まります。 ※左側は洗浄の途中です。
こうなると、吸い込める空気の量が減り (=目詰まりしていない部分からの吸入のみ)、そうなると奪える熱の量も減ってしまいます。さらに、アルミフィン自体が油やヤニ、ほこりなどの汚れでコーティングされることにより、暖かい空気が十分に冷却されないまま室内へ戻されることになります。分かりやすく例えるなら、先ほどの氷にビニールや布をかぶせた状態です。裸の氷に息を吹きかけるのと、袋に入れた氷に息を吹きかけるのでは、冷たく感じるのは前者ですよね。
さらに、ファンも汚れにより目詰まりを起こします。すると、空気の吸入量、排出量ともに激減し、十分な空気の循環能力を確保できなくなります。
では、エアコンの汚れと電気代の関係ですが、エアコンには設定温度というものがあり、エアコンは室内をその温度に保とうとします。 エアコンは、熱を奪い取る能力が落ちた熱交換器をフルに稼働させます。さらに、空気の吸入排出量を確保するためファンもフル稼働させます。 その結果、エアコンがきれいな状態では28℃設定でも十分に涼しくなっているところを、それではなかなか冷えないので26度設定時なみに稼働させ設定温度を確保しようとします。もちろん、消費電力も大幅に上がることになります。
エアコンクリーニングをすると、熱交換器の汚れやファンの汚れも除去しますので、エアコン本来の能力を十分に発揮させ、消費電力を抑えることができます。
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